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唯一無二を悟る。キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、3つの聖地が集まる街。

世界を巻き込む中心地へ、熱い人波に押されつつ足を踏み入れる。

狭い迷路道を進むと突然開けた場所に出る。ニュースで知る壁は思った以上に小さくて古びた姿。

2千年前、ユダヤ教の神殿は破壊され金色のイスラム教聖地が建てられる。ユダヤ教徒は残った壁に向かい、神殿が戻る日を願う。

どっちが正しい、なんてわからない。ただの壁に戻る日がくる、なんてのもわからない。

祈り方は違っても祈る内容は同じ、宗教の違いって大きいし小さいし。

立派なもみあげ、目新しい着こなし方。不愛想のせいでチラ見がうまくなる。

声も物音も聞こえない、涙も悲しみもない。人々が祈る壁の裏側は、イスラム教神殿の通路。

異教徒は入口で止められる。横に居る猫と遊んでいたら、入れなかった心残りはあっという間に昇天。

散りばめられた幾多の色。最大公約数は青。

キリストが十字架ではりつけの刑にされた場所。2千年後の聖地は、街に溶けこみ過ぎて見つけるの激ムズ。

ツルツルにするのは信仰の深さ。十字架から最初に降ろされた岩は磨きがかかる。

世界宗教として広まる中心地は、聖域を証明するための最上級。

祈る人々であふれかえっていても、静寂。

イエスキリストが眠るお墓、エネルギーが強すぎて無宗教の心まで熱くする。

突然響き渡る重厚な歌声。クラリスとカリオストロ男爵が浮かぶ軽薄な記憶。
さすが聖地。1つの教会にいくつもの宗派が集う。

何も知らなかった事が、この街では呼吸のように繰り返される。

涙でつながる2000年。キリストが十字架を背負い歩いた道。

右奥にイスラム教第3の聖地"岩のドーム"。その下にユダヤ教最大の聖地"嘆きの壁"。左端にはキリスト教最大の聖地"聖墳墓教会"。

空気を少し重くするのは歴史。

ミラノに行く楽しみができる。ダヴィンチの絵画、"最後の晩餐"が実際にされた場所。

古い街で油断するギャップ。安食堂の食事でも3千円する物価。

世界中の人種が集まる場所で、すぐになれる日本代表。

危険から守っているのか、危険を生んでいるのか。微かなざわめきを作る銃。

お土産となって並ぶ無数のキリスト様。ここは御利益だらけの街。
安宿の屋根裏にも聖地の鐘は鳴り響く。
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