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どれだけ世の中に情報があふれ、どれだけ世の中が近くなっても、ここでの1度の経験は強烈すぎる。
目指すは大地が青く光る場所。火山ガスが噴きだす山へ、真夜中に心細さ100%で出発する。
どこに立っているかはわかっている。でもそれ以外は何1つわからない。脳は少し混乱して興奮する。
人間のあくなき探求は、時として偉大であり、時としておろかすぎる。
ガスマスクのレンタルをして完全防備。ただ、そんな信頼感はあっという間にパニックに変わるけど。
目は痛いし、肺はビリビリ痛いし、鼻水はジュワーとあふれるし。もう、地獄にしか見えないし。
大地が青い炎を上げる。そんなウソみたいな現実、誰も信じてくれないよな。
我に返るまで眺めてしまう。ここに長居すると魂抜かれるかもな。
不気味な場所だけどだんだんリラックス。肌寒い山の熱波は露天サウナ。
この日は火山ガスが多くて炎が見えにくい。完璧な姿を見るために、また来たいけどまた来たくない。
気まぐれな風にヒヤヒヤする。美しさと危険は紙一重。
ライトの光は内部に柔らかく広がる。透きとおらない石にも輝きは隠れている。
70キロの重さ、1日2往復、日給千円ちょっと。日本の生活は、すでに幸運を手にしているってことか。
世の中は一握りの先進国の欲深さに、たくさんの人が振り回されている。
忘れていたけどここは山の上。本来の楽しみ方がやって来た。
空に隠れても、強烈な臭いですぐに見つかるけどね。
もしや温泉地でも青く光っていたり?
毒ガスの通り道と人間の通り道。植物にとったらどっちも一緒かな。
固定概念は時々邪魔をする。つまり、超能力でも合成でもない世界。
見渡す限り西洋人。そうすると不思議とヨーロッパを旅している気分になってくる。
もうお腹一杯すぎる。絶景を軽いチラ見でごちそうさま。
何回も飲まれるうちに慣れてくる。でも、慣れたとしても嫌なものは嫌だ。
イメージと違い気さくで明るい人々。心の余裕とお金は比例なし。
1歩の重みは全く違う。でも観光客のモデルになってチップを稼ぐ。少しは軽くなるといいな。
暗闇を登ってきた不安な道。帰りは正反対の充実感。
雲海じゃなくてガスの海。晴れているのに見られるからお得な気分。
数分おきに爆発音が地鳴りとなってやってくる。人間をおびえさせるには充分すぎる。
硫黄のお土産と出会い、別れはすぐにやってくる。飛行機に持ち込めないなんて。
そもそも生き物が来る場所じゃないんだな。
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