|
|

首都ビシュケクからたった30キロ。氷河も抱く大渓谷。

目的地なし。迷い道もなし。ひたすら谷の奥へと進む。

難解すぎるのが自然界の法則。

氷河が解けてできた川。フルスピードで手を引き上げる。

舗装された道は45分で終わり。まだ進めそうだから無計画の冒険続行。

結局、夢中になって一番奥の山まで行ってしまう。軽いハイキングのつもりが往復7時間のトレッキング。

心細いし心地いいし。人口密度はふたり。

疲れじゃなくて回復する散歩道。

気分はインディジョーンズ、小さな橋だって。

悠々と見える川も轟音。

近いようで遠い、でもいつの間にか近くなっている。

成長の記録が数千万年分。

少しだけ顔を出す氷河。残りの全貌は衛星写真。

脳を誤作動させるスケール違い。

どんなに大きな川にもジャンプで渡れる時あり。

ここを目的地にするかどうか、一瞬考えてはまた進む。

飲み水を持たないでやって来る。休憩を忘れるくらい夢中で良かった。

息を殺して通過する、落石危険地帯の底。

自然界の日常を非日常に変えたのは人間。

やっと人を発見。ライフルを持った人と馬。安心していいのか悪いのか。

本当かな?標高4000mらしい山の横に富士山を並べてみる。

雪解けの川、ゴロゴロの岩場。標高とスリルは一緒に増加。

氷河?氷の滝?ありのまま?

これ以上進むと日没に間に合わない。そうそう誰かが言った言葉、引き返すのも勇気。即席のゴール完成。

ずいぶん遠くまで来たもんだ。日没を気にしながら小走りで帰路につく。

山の影も大きくなった17時に無事下山。着いたとたん、のどの渇きと空腹に襲われる。
|
|
|