ウルタル渓谷にある牧草地へ4時間のトレッキング。絶景に囲まれた道だから、疲れなんて感じる暇がない。 危険をなくす事を大切にする社会。日本では正しくても、ここでは柵は似合わない。 真横に氷河が流れ、砂利で滑りやすい道なき道。数百円で小遣い稼ぎ、即席のガイドさんと行く。 狭い渓谷にメキメキと音がこだまする。動きを見せない氷河だけど、確かに動いている。 急坂を登っていると、平らで緑が広がる場所に出る。振り返ると、呼吸も忘れるウソみたいな時間。 羊に嫉妬しそう。ここは贅沢な牧草地。 隠れ家でも見つけたような高揚感、も含まれた幸福感。 日本だと不快に感じる乳牛の臭い。ここだととてもいい匂い。 もし雲がなければ、垂直に延びるウルタル峰がそびえている。こうやって、また訪れたい場所が増えていく。 白から黒に変わるのが氷河。 素朴な場所で静かにたたずむ。登山家、長谷川恒夫のお墓。