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ヒンドゥー教の聖地でガンジス川が流れる街。見るもの聞くものすべてが初体験で、底なしの沼に沈みこんでいく。
迷路のような狭い路地には、いい人、悪い人、いい牛、悪い猿。歩いているだけで次々ハプニングがやってくる。
びっくりするのは最初だけ。当たり前の景色になって、お互い譲り合いながらすれ違う。
突然目の前がひらけ川に出る。いくつもの煙の中に、初めて見る死体。焼かれていく死体。死体を狙う野良犬。川に流される骨。1番見えない存在にしてきた死が、目の前にあふれていた。
灰や死体が流れ、生活廃水や下水が流れる川。躊躇している外人なんか気にも留めず、沐浴し川に祈りをのせる。
巡礼で訪れる人々、ひたすらここで死を待つ人々。水泳教室をする人々。ガンジスはすべてを受け入れる。
沐浴したいのは牛だって一緒。輪廻の苦しみ、ではなく暑さの苦しみから解脱する。
インドは人間も神様もおもしろい。
さっきまで居たのは熱い鍋の中。川の上で沸騰した脳みそを急速冷凍。
反対岸は"不浄の地"と呼ばれ何もない。そこを走り回る野良犬は、目赤いしヨダレたらしてるし、上陸辞退。
忘れていた凧揚げのおもしろさ。わざとひもを離し追いかけるのが、今流行の遊び方。
はちゃめちゃな一日を毎晩リセットするのは、ヒンドゥー教の祈りと澄んだ鐘の音。
神様に選ばれた特権で、街のあちこちが大にぎわい。洗濯物を盗んでも、せめて着てくれたらいいんだけど。
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